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私たちは造形物の表層の良し悪しや気持ちよさだけではなく、その造形に至った思考と動機を読み解かなくてはいけない。作品としての評価は原因から結果までを含める総合的なものだ。
シンクロ率の高い動きや職人技による造形はキッチュさを助長させて造形美としての感動を生む。
(ここまで、2020年5月29日の下書き)
随分と久しぶりに見たこの下書きは苛立ちをもって書かれていて、その当時の事を思い出した。
コロナウイルス感染症に対応する医療従事者に感謝を示すべく航空自衛隊がブルーインパルスで東京都心上空を曲技飛行したのだ。
コロナウイルスに対する医療への具体的な対策の一つが、ブルーインパルスをみんなで見て一致団結というのはどうかしている。と思いながら、別の懸念も感じた。
その意図を知らず、たまたま街中で飛行機が整列して飛行機雲を作りながら飛ぶのを見たら僕は「お〜っ」と感動していただろうなと。
その感動の元は造形の力だ。下書きにある「シンクロ率の高い動きと職人技」がこの飛行の造形の質を高め、驚きと感動を与える。そして視覚芸術の鑑賞の入り口もまた造形の力によっている。
「お〜っ」と感動した造形でも、原因が納得できない時はその結果としての造形にも納得出来ない。ブルーインパルスが上空を飛び、人々がそれを同時に見上げて同じ意識を共有する結果を生む造形を、政治的背景を前提として鑑賞する事で納得できなくなった。そして同時に鑑賞する力の必要性を痛感したのだ。
昨日、安倍総理が辞任した。
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