サーファーは海ではなく都市に適した形で、サーフボードではなくスケートボードで波乗りをしようとした。
それはサーフィンの様相の模倣であり、ひとは文化的影響が強ければ強いほど、その文化特有の概念でものをみようとする。
社会一般的な日常生活の概念をもとに都市に生きているが、サーフィンを強く求めサーフィンの概念がそれらをおおったとき、都市に存在する人工物はいつもと違う顔を見せ始める。
栗原 啓輔「路上の言語」より
私たちは物事を見たり聞いたり触れたりして、身の回りの物事や風景のイメージを受け取っています。能動的に意識をして観察すると身の回りから新しい発見があったりするでしょう。しかし、意識をせずに受動的に見たり聞いたり触れたりもします。無意識に目印にしている風景や、どんな建物があったのか思い出せない空き地など、見ていた(見た)、聞いていた(聞いた)、触れていた(触れた)イメージも同様に受け取っているのです。
「あれを見た、それを聞いた。そして触れた。」では、このような見たり聞いたり触れたりしていたイメージ、風景や景観、音や地形をテーマに展示を行います。音楽、立体、日本画、イラストレーション、写真、評論、映像という多岐にわたる作家が、受動的に受け取るそれらのイメージに対して、それぞれの観点から作品を制作しています。
私たちの目の前にある様々なイメージに対して主体的・能動的に新しいあり方を与えるのではなく、私たちが受け取っていた受動的なイメージという観点から制作された作品は、 そこにある風景や世界を端的に伝えることができるでしょう。
本展示では、私たちの生活する空間や風景や状況をこれらの作品で再構成するものになります。ぜひ風景や生活空間の中に身を置くようにご鑑賞ください。本展示を通して、これらの作品があることと同じように、生活の中に風景や景観、音や地形があることを再発見する機会になれば幸いです。
「あれを見た、それを聞いた。そして触れた。」
2019.10.14 mon – 27 sun
11:00 – 18:00
オープニングレセプション
10/14 mon 14:00 – 15:30
ギャラリー門馬&ANNEX
札幌市中央区旭ヶ丘2丁目3-38